「今から過去をつくりだした」みたいなものがたり | 2019JリーグYBCルヴァンカップ 決勝 コンサドーレ札幌 vs 川崎フロンターレ | しぶたろーBLOG
2019年10月26日、「2019JリーグYBCルヴァンカップ 決勝 コンサドーレ札幌 vs 川崎フロンターレ」が開催された。
「今までで一番面白かった試合は?」
小学生の頃からサッカー観戦をしてきたしぶたろーは胸を張って答えられる。
「それがこの試合だ」と。
この記事では、この試合を通して感じたスポーツ観戦の魅力を以下の章の順でまとめている。
<目次>
- この世界には今しかない!?
- 想像を超えるサッカークラブ
- 感じたスポーツ観戦の魅力
この世界には今しかない!?
最近YouTubeや映画等でこんなことが言われているのを目にした。
過去から未来へ流れるような時間という概念は実は存在しておらず、
今という独立した瞬間しかこの世界には存在していない
相対性理論や因果関係のジレンマのようなテーマから、矛盾のないように時間について考えるとこの結論に辿り着くらしい。
大ヒット映画「メッセージ」はこれをテーマにシナリオが描かれていた。
これが正しいか間違っているかはさておき、私はこの考えかたは非常に面白いと思う。
過去の延長線上にその瞬間があるのではなく、因果関係や方程式とは関係ない今がそこに存在している……。
その瞬間に未来や過去を意味付けしている……。
簡単に言えば、今、なにが起こるかわからないということなのかもしれない。
そして、そんな風に、自分の予想や過去のジンクスを悠々と越える瞬間を観せてくれるサッカークラブが私にはある。
川崎フロンターレだ。このクラブに私は小学生のころから魅了され続けている。それは私が23歳になった今年も変わらなかった。
想像を超えるサッカークラブ
2019年10月26日、川崎フロンターレがカップ戦初優勝を果たした。
川崎フロンターレとしてはそれまでカップ戦の決勝を4回経験し、4回すべて準優勝、無得点。
選手や監督のインタビューを見ると、このジンクスについて強く意識はせずとも、やはり「払拭したい」ものとして認識している様子であった。
そして自分は、5回目の今回、何度も「今年も準優勝かもしれない」と思わざるをえない展開を目撃した。
- 例年通り、惜しいシュートは打つものの得点が決まらず、逆に相手に先に得点を許したり……
- 優勝が決まる直前に追いつかれ、延長戦で退場者を出し数的不利になったり……
- 過去に川崎に在籍していた福森選手に得意のフリーキックを決められ勝ち越され、札幌側の優勝のストーリーが色濃く見え始めたり……
- 圧倒的にキッカーが有利なPK戦で札幌の選手がシュートを決めれば敗けが決まる状況まで追い詰められたり……
これだけ、あと人差し指でちょん、と突かれたら敗けが決まってしまうようにみえる状況があったのにも関わらず、表彰台に立ったのは川崎の選手たちだった。
- 決勝戦5回目にしてはじめて得点を決める
- 数的不利になろうがキャプテンである小林選手がゴールを決め、追いつく
- 6年前にチームに入り、今年の半ばからスタメン奪取を果たしたGK新井選手がここぞというところでPKストップを連発し優勝を決める
私だったら「今年もか」と諦めてしまうような逆境を川崎の選手は何度でもひっくり返した。
まるで今までの、決勝戦で勝てず、優勝できない背景なんて存在していないかのように。
表彰台に立った選手の笑顔をみて私は改めてこう思った。
“今なにが起こるかは誰にもわからない”
それまでの決勝戦で勝てない歴史は
この優勝を彩るために自分のなかで新たに生まれたもののように思えた。
感じたスポーツ観戦の魅力
スポーツ観戦はただ単純に勝ち負けに一喜一憂するものではないのだと思う。
それぞれのチームにそれぞれのスタイルがあり、掲げる哲学があるはずだ。
その哲学を体現し表現する選手たちに何度も感動し、奮い立たせられる。
小学生の頃から応援し始め、父親や母親とスタジアムに何度も駆けつけてきたが、親の体力的にも自分のスケジュール的にもこれからは観にいくことも少なくなっていくのかもしれない。
だが、私はこれまで目撃してきた川崎フロンターレの哲学が自分の体に刻みこまれていると信じている。