天の川の写真が撮れるまで一週間その瞬間を待ち続けた体験談(結末編)
このブログは以下ブログの結末編である。
天の川の写真が撮れるまで一週間その瞬間を待ち続けた体験談(苦戦模様編)
今回のブログは以下タイトルとともにお送りする。
- もう泊まる宿はない
- 無課金プレイヤー
- 場所とり戦争
- 出逢った夜空をみて
もう泊まる宿はない
ばさあっ。
朝目覚めるなり、部屋のカーテンを開ける。
「いい天気だ〜。」
天の川を撮影する正真正銘、最後のチャンスだ。
4月28日に静岡いりし、30日に5月3日まで延泊を決めた。
そして本日はその5月3日だ。もう泊まる宿はない。
延泊を決めてから1日、2日、となかなか雲のない夜空に出逢うことはできていなかった。
もちろん、天の川は撮れていない。
また、星空は暗い状況で撮影するのが好ましく、新月となった5月1日から日数が経ってしまうのもよろしくはない。
私の個人的な事情だけでなく、環境依存的な条件も含めて、なんとしてでも今日、天の川を撮影しなければならない。
本日17時、爪木崎灯台に着くと、これまでとは明らかに違う様子があった。
これまできたなかで一番雲が少ない。
そして、人間がたくさんいる。
爪木崎灯台と下田駅とを繋ぐバスはお昼しかなく、夕方以降は交通の手段が車か歩きしかないため、ここ数日は私以外誰もいなかった。
だがどうやら今日はキャンプをしようとしているひとや星空撮影をしようとしているひとでごった返している。
GWの祝日の三連休の1日目であることも原因かもしれない。
そしてなにより心強かったのが、星空指数予報が最高評価だったことだ。
どれだけ昼間晴れていても、このサイトだけは夜は雲が出て星空が雲に隠れることをこれまで的中させてきていた。
「雲がほとんどなく、澄んだ夜空が期待できそう♪」
そのサイトが初めてそう、仰るのだ♪
期待できそう♪
無課金プレイヤー
この夕方の時間帯で天の川をみることが難しそうであれば、潔く諦めて夜に東京に帰ろうと思っていた。
が、これらの様子から、私はこの爪木崎で夜を明かすことを決めた。
「どこかに荷物を置ける場所はないだろうか…。」
これまでは宿泊先があったため、必要最低限の荷物を持ち出して撮影に出かけられていたが、本日はそうもいかない。
爪木崎灯台の撮影場所はひどく狭いため、荷物を置ける場所が必要であった。
そう思い、テントのはられている海岸沿いへ様子を伺いに行く。
ネットで調べると、この時期に限り、火を扱わなければ、海岸沿いでテントをはって宿泊ができるらしい。
あたりはしっかりとしたテントをはって楽しそうに、家族や恋人たちがキャンプをしている。
恥ずかしかったので端っこの方でつくった、私の”居場所”はもはや、ゲームの世界でいう、初ダウンロード後のチュートリアルを終えた無課金アカウントが、持ち物を広げたみたいである。
が、しょうがない。無課金アカウントだろうが天の川は撮れるのである。それがこの人生ゲームの面白いところだ。
スポンサーリンク場所とり戦争
「今夜の撮影場所の下見にでも行くか…」
そう思い、おなじみの灯台のふもとまで行ってみる。
「…!」
そこには驚くべき光景が広がっていた。
まだ時刻は17時半だというのに、撮影隊が既に場所とりをしているではないか…!
「この一週間粘って、最後の最後に場所とりに負けていい写真が撮れないなんて許せない…。」
そう思った私はカメラと三脚を持ってきていたため、そのまま場所とり戦争に加わった。
私の前に既にいたのは3人だ。
初日の夜に撮った写真のように、灯台に続く道から灯台と夜空を撮るのが定番の撮り方なのだが、既に道の横幅いっぱいにその3人が三脚を立てて星空撮影に備えている。
私はその前に三脚を立てるわけにはいかないため、すぐ後ろで撮影体制を整えた。
撮影画角は限定され、写真の下方に前のカメラが写り込んでしまうがなんとか灯台と夜空は撮れそうである。
これ以上ひとが集まってきたところに、後方から撮影するのは困難である。
「…。」
ええと、天の川が登場するのは深夜23~26時だ。
私はこれまで、どんな行列に並んだことがあったか思い出してみていた。
まず思い出したのは、たまごっちの行列である。
小学生の頃、たまごっちが流行った。
私もたまごっちが欲しくて、新しいたまごっちが出る!というタイミングで家電量販店の開店前の列に並んだ。
やっとの思いでゲットしたたまごっち、大切に育て、進化させたのを覚えている。
次に思い出したのは夢の国の行列である。
2、3時間並んでいるとなにをしにきているのかわからなくなる時もあるが、一緒に行った友人と人狼ゲームをしたりして時間を潰すまでがセットで楽しかった。
そして今、天の川を撮影するために5〜8時間、その場で待機しなくてはならない人生の局面を迎えている。
たまごっちや夢の国の行列なんてかわいいものだ。
これが撮影隊同士の静かなる戦争か…。
そう思いながら、私は精神的には気絶しながら、その瞬間を待った。
出逢った夜空をみて
そしてついにその瞬間がきた。
私の前にいた3人のうち1人が用事があるようで21時ごろ帰宅し、私は最前列に躍りでていた。
見晴らしは良好である。
この一週間に及ぶ挑戦は最後の最後に最高のかたちで終わりを迎えた。
無我夢中で待って、無我夢中で撮影した約8時間、そしてこの一週間は、眠ってみていた夢を思い出すように、東京に帰ってきた今考えるとあっという間だったように感じる。
これまで感じたことのないような嬉しさと達成感であった。
最後に壮大な景色をみて感じたことを書いてこのブログの締めとしたい。
天の川や数えきれないほど多く輝く恒星を目にしたとき、いろんな想像をした。
宇宙人はどんな姿をしているのだろう、とか、私の知らない惑星にはどんなかたちや色、質感をしているものがあるのだろう、とか、語り出したら止まらないかもしれない。
そこで私は、まだ知らないこと、理解できないことが無限にある素晴らしさと、それを想像できる楽しさを人生を通して与えられていることに気付いた。
そしてそれがとてもありがたく感じた。
爪木崎の灯台は、地球だって素敵な星なんだぜ、ってそんな大きな宇宙に向けて輝いているようにもみえる。
この宇宙のおおきさと、このありがたさをいつまで経っても忘れずに生きていきたい。
最後に…、撮影したRAWデータを編集せずにそのまま繋いで作成したタイムラプス動画と編集後の星景写真をYoutubeにあげている。下の写真のように画質を最高の「4K」に設定してぜひみてほしい。縦長でみれるハズ。
以上、静岡の爪木崎灯台に行って、一週間天の川の撮影に挑戦してみた、でした。
ありがとうございました。
※一睡もできませんでしたが無事、始発で帰りました…。